フェアトレードって・・・

今年のバレンタインもすごい盛り上がりでしたね。

特にここ数年のカカオブームはとてもすごい!

私ももちろんチョコは好きなので、この時期しか買えないお店もたくさんあるので一応お目当てのチョコは買います。

あまりにも人が多い催事は避けているので、毎年なかなかゆっくり見ることはないのですが、今年は少し人が少ない時間帯に百貨店によることができたので、少し見て回りました。


あ、ちょっとまたまた社会批判的なネタです。最近ちょっと続いてますね。

季節の変わり目の影響か、この季節はどうしてもこういうこと書きたくなるような気がします(笑

まあ、すこしお付き合いください。


その百貨店ではこの数年のカカオブームを反映して、いつものショコラティエブランドとはちがうスペースで、ビーントゥバーをメインにしたブランドのコーナーを作っていて多くのカカオブランドが出店していました。


で、どのブランドもこう謳ってます。

「シングルオリジン」「フェアトレード」「オーガニック」

自らが探し求めた希少なカカオで、農家と直接契約して、とてもフェアな取引をして等々うんぬんかんぬん。

生産者を守り、環境問題に真摯に取り組んで、それを買ったお客さんもその役割を担うことができる!。

いかに私たちは、社会正義を考えて仕事をしているか。

チョコの味より、そのことがメインなんです。

パンフレットやポップでは肝心のチョコの味がいまいちわからない。

もう何十店舗もそればかり。ちょっとうんざりしてきて・・・


まあ、それは素晴らしいことです。

そうあるべきだし、今後も続けなければならないし、そういうことをある程度周知することは絶対必要です。


でも、もうフェアトレードと言い出してから何年たっているのでしょう。

フェアトレードってずいぶん昔の奴隷時代の名残とか、発展途上国の人たちから先進国が搾取をしていたこととか、流通上中間搾取があることとか、投機マネーが価格を乱高下させるとかまあそういったいろんな要因で、原材料を作る人たちが正当な対価を受け取っていないというところを改善しましょう、という話です。

確か1960年代からもうその概念は存在していたはずです。

もっと言えば、生産者が苦しんでいるからというより、生産者を生産活動できないくらいまで貧困に追い詰めてしまったので原材料の調達に困りつつある。またはそのことによって急に原価が高騰して安定した事業活動に支障をきたす。という単なる消費国側の思惑もあったり。


価値のあるものを生産している人に、その原材料と加工にかかわる正当な対価を払う。

こんな当たり前のことを、もう何十年たった今でも、さも特別な取り組みであるかのように、広告宣伝の柱として使っています。

単に費用はちゃんと払いましょうねー、という話がいつの間にか「素晴らしい社会貢献」みたいにすり替わっているわけです。

現実は「悪いことしてたから、そろそろやめます。」って話なんですが。。。

そろそろ、企業活動のデファクトスタンダード的なものでなければいけません。

その行為がその製品の一番のセールスポイントであるのには違和感しかありません。


そしてもっと言えば、その企業はカカオに対価を払うようになったかもしれませんが、そのカカオを加工したり、製品化するすべての工程に正当な対価を払っているのでしょうか?またマーケティングにおいて関係会社に正当な対価を払っているのでしょうか?自社の従業員に正当な対価を払っているでしょうか?

自社の社員を不当に扱う会社がいくらフェアトレードを謳ってもそれはさほど意味がありません。


これだけのブランドが乱立してる上に、1月の末から2月中旬のたった2週程度で大量に売りさばく過程で、かなり無理もしているでしょう。

昔から健全にフェアな取引をされていた会社が日の目を浴びるならいいのですが、そんなかんじでもないです。


なんか、おかしな光景に見えてきました。



少し話は変わりますが、オーガニック認証には結構なお金がかかります。

これも問題で、急激にオーガニックと言い出してからすごい勢いでオーガニック製品が作られるわけですが、その費用負担はどこがしていますか?っていう話ですが、まあたいてい生産者が負担せざるを得ないわけです。

そういったことを強要したりという事実もあったりします。

たとえオーガニック認証などいらないほどの自然環境とその丁寧な仕事をするところであったとしてもです。

費用を作れないところは取り残されて、フェアトレードどころじゃない。


さんざん搾取された後に、これからそれなりの値段で買うから費用出してね、と急に言われても、それはなかなか難しい。

そして組合化が進んでさらに管理コストがかかったとりと、また小規模生産者は取り残されます。


とはいえこだわる人にとってはチョコなんかは食品だからオーガニックというのはまあそれなりに重要な判断材料になるとは思いますが。


あとオーガニックといえばコスメもそうですね。

美容業界はすごい勢いでオーガニックを謳う製品が登場しています。

そもそも日本には化粧品のオーガニック認証はないから、ほんの少しオーガニック認証を受けた原材料を使ってオーガニック化粧品と宣伝しています。


まあ、化粧品の場合はオーガニックであるかどうかはそこまで重要じゃないのですが、粗悪品と呼べるレベルのものに数パーセントの天然材料添加するだけで、さも安心な製品のイメージを作るのは怖いことです。

現実的には、偽装的な商品、偽装ではないものの解釈で何とかしているようなものも見かけます。

実際にそういう製品は百貨店クラスに入っているブランドでも見られるのが今の現状です。

こういう取り組みをいちいち疑わなければいけないのはつらいことですね。


それも仕方ありません。

今のマーケティングは完全なキーワード型になっています。

情報が溢れすぎて何かを吟味することをしなくなって、一言、いや一目で判断する時代に変わりつつあるわけです。

ツイッターとかインスタグラムのハッシュタグとかそういことですよね。

一目見て、オーガニック、というキーワードがなければ見てさえくれない。

味とか、その商品の本質は二の次です。


情報社会になって情報量が増えると、知識が増えてより正しい判断ができるようになると思いがちですが、人間は情報量が多いと、不思議と深く考えることなくキーワードだけで判断するようになったりします。気が付かないうちに。

そして良く考えれば気が付く矛盾を見逃します。



フェアトレード。

それは、カカオ豆の話だけじゃなくて、社会の在り方とか消費の仕方とか、私たちが普通に生活するなかで、何を選択するか?という問題と大きくかかわっています。

激しすぎるマーケティング訴求は必ず大量生産と消費を生みそれはすぐに過剰供給につながります。

そして仕組みは破綻します。

市場原理主義の現代社会ではとても難しいことです。


でも、せっかく概念が浸透してきているのだから、またそういう言葉を独り歩きさせていつの間にか、忘れ去られるブームのようなものにならないように、身近な商習慣、もっといえば普段の買い物でもほんの少し注意することで変わっていくのでしょう。


少なくともトレンドキーワードに右往左往しないようにすることは、とても大切なことなのではないのかな?と思ったりします。



写真はこの批判とは全く関係なく、今年予想以上においしかったチョコ。

最近の繊細な感じのものではなく、とてもカカオの力が強いワイルドな味わいに驚きました。

いい意味でちょっと洗練されていない感じの舌触りがとても印象的でした。


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