若返りの水・ハンガリーウォーター

ハンガリーウォーターとは別名、ハンガリー王妃の水、若返りの水と呼ばれる、ローズマリーを主体としたハーブを数種類アルコールに漬けて作るヨーロッパの伝統的な水(薬酒)です。


「1370年ごろハンガリーの宮廷で錬金術師か修道士がローズマリーの薬酒をつくり、それを飲んだ72歳の王妃は若返り、年下の隣国王から求婚された」

というエピソードが始まりとされるこのハンガリーウォーターですが、そこから時を経てローズマリーだけでなくタイム、ラベンダー、ミント、セージなどなど、様々なハーブを入れて作られるようになりました。


先日も少し紹介した「香料商が語る東西香り秘話」という本の中で、このことについて面白いことが書いてありました。


『香料業界ではこれがまことしやかに語られているが、調べるにつけ、どうも実態が見えなくなってきて、そもそもハンガリーということ自体が怪しい。

そのレシピももともとはローズマリーだけだったのだろうか、ローズマリーとタイムだけだったのだろうか?と様々な説がある。

もしかして、作られたのは薬酒ではなく話のほうかもしれない。』・・・と



確かに、中世ヨーロッパの歴史の中で、どこどこの修道院が作ったお菓子だとかは、よく調べてみるとそのお菓子はイスラム圏で作られたものだったりと、後から作られた話は多いです。

ほんと、話というのはどんどん膨らむもので、原型をとどめていない逸話などというものはそこら中に転がっていて面白いものですよね。

何々が元祖などという話は案外怪しいものが多いです。

この薬種も発祥はもっと昔で、いろんな変遷を経てヨーロッパの貴族たちが使うようになったのでしょう。


こういってしまえば、なーんだ作り話か、とか商売の宣伝というものは今も昔も変わらないなぁと思ってしまいますが、

これをこの作者はこう結びます。


『これは人間社会の文化現象で、文化とは(Culture)とは、耕す(Culture)のこと。

一人一人が手をかして、話の畑を耕して、今日のイメージを作ってきたのである。』


それらは発展過程の一段階を言っているに過ぎないのだとして、まあどれも事実としてあったのではないかと。

文化=耕す。

こういうものの見方をすれば、話が膨らんだり変わったりするのも悪くないですね。



ずいぶん前置きが長くなりましたが、私は紫外線にとても弱く、日差しが強くなると日焼け止めを塗っていても肌が痛くなることが多いんです。

日差しの強い日は、しばらく紫外線を浴びたら鎮静用に化粧水をスプレーするようにしていたのですが、あるとき料理に使ったローズマリーが割と残っていたのでせっかくだから、これを煮だして使ってみたらいいのでは?と思って始めたのが、私の定番なんちゃってハンガリーウォーターです。




これは水で蒸し煮にしたローズマリーです。

これをスプレーボトルにいれて、少量のグリセリンに溶かしたパルマローザの精油を数滴。


ローズマリーウォーターの香りにパルマローザを加えると、ティーローズの香りになるんですよ。

紅茶でもなく、まさにティーローズと形容したくなるような香り。

このローズマリー水の効果より、この香りが何よりの収穫だったかと思うほどうっとりする香りです。


これを冷蔵庫に入れておいて、日差しがきつかった日にスプレーしてあげると、肌がずいぶん楽になります。

お酒につける薬種(チンキ)と違ってそこまで成分は強くないですが、どうやら肌の鎮静化にはいいようです。

まあ、メインの成分、ロズマリン酸は水溶性なので煮だしでもその効果は十分あるのでしょう。



こんな感じでハーブの水溶液でローションをいろいろしてみるのですが、今実験中なのが、ハイビスカスです。



なかなか色がすごいですが・・・。

これはハイビスカスパウダーを溶かして、砂糖大根(ビート)から採れるベタインという保湿成分を混ぜて作ったローションです。

植物油にしなかったのはなんとなくハイビスカスならベタインかな?と。なんとなく相性がよさげなので。

このベタインも低刺激でなかなか保湿力もあってよいです。

オイルが苦手な方にはお勧めの保湿原料ですね。


とりあえず使ってみると、思ったよりしっとり感が強いです。

ハイビスカスはパウダーではなくて、リーフを煮だすほうがいいのかな?と思ったりしましたが、どうでしょう。

ビタミンCとクエン酸たっぷりなので、この時期にはいいはずですが、私はピーリング効果が高いものはダメなことが多いので、さてさてどうなることやら・・・

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