菖蒲にちなんで
梅雨が近づいて来たらアジサイと菖蒲(あやめ)の季節ですね。
あやめの中でも花菖蒲はとても品種改良が盛んな花で、ヨーロッパの貴族たちが薔薇の品種改良に情熱を注いだように、日本ではこの花菖蒲の品種改良に情熱が注がれていたのでしょうか。
今、日本の花菖蒲は5000種ほどあるといわれています。
日本の文献を紐解く限り、園芸は江戸時代から盛んにおこなわれていたようです。
武士たちが主に行っていたようで、この花菖蒲は朝顔、菊と並んで特に盛んに品種改良がおこなわれていたそうです。
鉢植えなど植物の栽培は武士のたしなみ(私が勝手に言ってます)というくらい盛んだったようで、江戸時代がいかに平和だったかということを象徴するような話ですね。
独自の園芸文化が花開いていきます。
江戸時代中期、旗本だった松平定朝は60年間に300種近い品種を作り出し「花菖培養禄」という園芸書を完成させました。
その完成度は、花菖蒲栽培の歴史は菖翁(松平定朝)以前と以降で区切られると言われるほど。
薔薇でいうところのオールドローズ、モダンローズのようなものでしょうか。
花菖蒲の新しく作られた品種の絵とその栽培法が書かれているのですが、その絵も彼自身が描いたそうで。
ほんとすごい情熱です。
現在の花菖蒲のルーツはほとんど菖翁の作品がもとになっているといってもいいほどだそう。
マリー・アントワネットのマルメゾンのバラを描いた、ルデューテのバラ図譜を連想させますね。
ふとおもうのですが、世界中で人気があるバラは、なぜ日本では扱われなかったのでしょうか、とても不思議です。
日本にもバラは自生していたことは間違いないのですが、バラはほとんど園芸として扱われなかったようです。
何か意味というか日本文化の独自性を紐解く鍵があるのかも。
話は変わりますがこの菖蒲、日本では観賞用ですが、おなじアヤメの仲間の地中海原産のニオイアヤメは世界で最も高価といわれる天然香料です。
花自体も香りがあるそうなのですが、精油は低温で熟成させた根から採られます。
根を低温で熟成させるのに数年かかるうえ、少量の精油しか採れないのでとても高価なものになるんですね。
確かに精油はほとんど出回っていませんし、上質なものは高級な化粧品や香水にしか使われていません。
薔薇の精油より高級品になります。
よくパウダリーと評されるその独特の香りは、ほかに代用することのできない香りだと思います。
確か数年前、ディオールがコレクションラインのパフュームを日本で展開するのに、天然アイリスの精油を軸にした香りをメインにアピールしていたことを思い出しました。
そのイベントで香りを試した記憶があります。
とても上質な品のいい香りだったと思いますが、確か、数万円する代物だったと・・・
精油自体も抗酸化作用とメラニンの生成を抑制する効果が高いとか。
メラニンの生成を抑制とか、よだれ物の効能なのですが、試してみようにも、高額だし、いかんせん手に入りません。
この流通量と価格を考えたら、その辺りの市販のものでアイリス使ってますというものは効果が分かるほど入ってるのだろうかとか、どうももひとつ手が伸びない・・・。
ちなみに、根を乾燥させたものがオリスルートという名前で売られています。
これはポプリなどを作る時に保留剤といって、精油をこのオリスルートに含ませてから乾燥した花びらなどと混ぜることで、香りを長持ちさせることができます。
オリスルート自体にもかすかにスミレのような香りがしていい香りですが、同時に土のような香りもします。
まあ、根の部分を乾燥させたものですから当然ですね。
オリスルートは比較的安価に売られています。
あれ、なんか話があっちこっちに。
まあ、菖蒲にちなんで菖蒲にまつわるいろんな話ということで・・・。
上の写真とこの写真は大阪城北公園の菖蒲園の花菖蒲です。
来週ぐらいまでが見頃ではないでしょうか。
アジサイもきれいに咲いていました。
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