薔薇のこと

中之島公園では薔薇が満開です。

今年は咲き始めるのがずいぶん遅いような気がしたのですが、一気に気温が上がってせいでしょうか、こんなに見事に園内のどの薔薇も綺麗に咲いている状態を見ることができたのは初めてではないかというくらい一斉に美しく咲いていました。


薔薇は何万種類といわれるほど、様々な品種があります。

今は、秋にも薔薇を見ることができますが、元々薔薇は春だけに咲く花で、とても弱い花だったそうです。


1867年にリヨンの育種家が西洋種と中国種を掛け合わせて「ラ・フランス」といういわゆるモダンローズといわれる現代種の第一号を作ったのが四季咲き(秋にも咲く品種)の始まりだそうです。

そこから、一気にヨーロッパでは競うようにバラの品種改良が進み、何万種という薔薇の品種が生まれました。


それ以前からジョセフィーヌ妃のマルメゾンのバラ園に代表されるように、中世ヨーロッパの貴族たちのバラにかける情熱はすさまじかったことは間違いないでしょう。


もっと古く、ペルシャ文化圏では、バラとその花びらを水がめに入れて神にささげたり、肌に塗って化粧水のように使ったり、飲み物として活用されていたことはイスラムの伝承にあるように、本当に古代から愛されていたのでしょう。

アラブ諸国は今でもローズウォーターの水盤が玄関においてあり、その香り高い水で手をあらってもらうのが歓迎のしるしだったりすることもあるそうです。今でも生活に密着した使われ方をされています。


バラの香りは水溶性なので、バラが水に落ちると自然とローズウォーターになり、中東のような暑い国ではそれが熱されて、自然とバラの油分が水に浮いてきて精油となるので、それを古代の人は利用したのでしょうか。

とにかく、中東やヨーロッパの歴史には様々なバラの逸話が登場します。


アメリカのローズ学者が面白いことを言っています。


薔薇の品種改良の歴史についての話なのですが、ラ・フランス以降のモダンローズの品種でさえ、初期の記録は75%が物語、20%は偏見や脚色だそうで、事実は5%。

オールドローズに至っては、もっとだろうと。


どれだけ、人々がバラに対して愛着と執着を持っていたのかをうかがわせます。

人の歴史の伝聞はこだわりや情熱のあるものほど、良くも悪くも脚色が増えてしまって、正しく伝わらない傾向があるようで.・・・


まあ、歴史の話はともかく。

その何万といわれるバラの品種には一つ一つ名前が付けられています。

バラ園には必ずプレートに名前が書いてありますよね。


薔薇の母と言われるジョセフィーヌ妃の名前を冠したピンクの薔薇に始まり、世界のロイヤルファミリーにささげたバラにはそのささげる方に対して敬意をこめて名前がつけられたりします。

美智子皇后に送られたのは、花弁の外側に行くほど鮮やかな濃いオレンジになる独特の花弁をもつプリンセス・ミチコでした。


それだけでなく、世界の有名人、都市、建築物、名曲・・・新種の薔薇ができるたびにそのイメージをなぞらえた様々な名前がつけられていきます。


真赤な深紅の大きな薔薇はミスターリンカーン、真白な可憐な花弁を持つ薔薇はウエディングドレス、実る稲穂のように花が頭を垂れ咲く白い花は音符を思わせ、少しの風にもゆられ、まるで音楽を奏でているように見えるその薔薇は、奏。


ほかにもジャンヌダルクやマッカートニー(ポールマッカートニー)やマリアカラスなどなど、誰もがイメージできるような名前が付けられていたりするので、プレートをみながらバラを見るのも楽しいですね。


あと、バラ園にいくとあまり香りを嗅がれている方を見かけないのですが、これはぜひ。

プレートに名前と同時に系統が書かれているのですが、ハイブリッドティー系やティーローズ系と書かれたものはぜひ鼻を近づけてみてください。


人々がその香りに魅了され続ける理由がわかるような、本当に上品で優雅な香りがします。


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