つつじ花 にほえ娘子

つつじが満開です。


春といっても桜の咲くころはまだまだ寒くて天気も荒れ気味なのですが、このつつじが咲くとようやく一段落して、穏やかな心地のいい日がやってくるような気がします。



物思はず 道行く行くも 

青山を 振り放け見れば

つつじ花 にほえ娘子 

桜花 栄え娘子


と万葉集で歌われてますので、桜と並んで当時の美しさの象徴だったのでしょう。


少し話は変わりますが、

このころの和歌などでよく出てくる、「にほえ(匂え)」というこの言葉とても素敵な表現ですよね。


もちろん嗅覚としての「匂う」という意味でもつかわれていますが、同時に内面の美しさがにじみ出ている様子を表した言葉で、おもに自然の美しさや女性の美しさに対して使われてきた言葉です。


美しさって何ですか?ということを考えたりしても雲をつかむような話で、なかなか答えの出るようなものではないですが、この「匂う」という表現はとても「美しさ」とは何かということをよく表しているなぁと思います。


美しいと感じるものをいろいろ思い浮かべると表面的な共通点はないのですが、どれもなにかにじみ出るような美しさを感じるのは同じです。

少なくとも私の中ではこれが大きな「美」の基準になっていることは間違いないのでしょう。



この「にほふ(匂う)」の語源ですが、少し興味深い説があります。


語源はいろいろあるので、どれが本当かはわかりませんが、私が気に入ってる説は、赤く発色する釉薬としても使われていた辰砂という鉱物で、その鉱物を昔日本で丹(に)とよんでいたことからではないかという説です。


高熱で焼いたときの朱色に発色するさまがとても美しいというところかららしいのですが、そのもののイメージでしょうか。

確かに釉薬が奇麗に発色した陶器には表面の塗装などでは到底表現できない、なんともいえないにじみ出るような美しさがあります。


余談ですが辰砂は中世ヨーロッパの錬金術で使われたいわゆる賢者の石です。世界中でもこの石は人々を魅了していたのでしょう。


いずれにしても語源のことはわからないのでそれはともかく、内面の美しさがにじみ出るのことを美しい花から形のない「匂い」が出る様子になぞらえているのか、よく花と対で使われたこの言葉、色々なものを想像させてくれます。



さて、私はどんな風ににほうのか・・・考えないでおこう(笑

でも、少しでもそうありたい。そういう希望くらいは持っておくのは悪くないかな。

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