精油で作る香水
ロザリーナ精油でのスキンケアについて書いたときに、ハニーマートルのことも少し触れましたが、このハニーマートル、葉からとったものとは思えないくらい甘いレモンのような香りがします。
このハニーマートルの香りを嗅いだ時に、ふと、この精油を核に香水を作りたいな、と思い作ることにしました。
精油をブレンドしてディフューザーでというのは昔からよくやっていて、せいぜい3~4種類くらいをその日の気分や体調に合わせてということはよくしていたのですが、精油のブレンドで香りを作るというのは意外に難しくて、4種類を超えたあたりから香りのバランスが崩れたり、同じような香りになったり・・・
香水も作ったことはあったのですが、効果がある程度持続するようにいろんな香りを混ぜると結局どこにでもある、いわゆるブレンドアロマ的な香りになるので敬遠していました。
少し前に、「香料商が語る東西香り秘話」という本を読む機会がありました。
香りといっても、精油の世界ではなく、香料商の世界に長年いらして輸入を手掛けてきた経験で、香水の世界の話を書かれた本なんですが、相良嘉美さんという東大を卒業されて長谷川香料という会社に47年間務めたというなんかすごい経歴の方が書かれた本です。
さすが長年商業として香りに携わってきた方の話だけあって、有名な調香師の話、香料の話などを歴史的な流れや作られる過程などを踏まえて書かれていて、香りの世界に欠かせないローズの話もたっぷり出てきます。
中世貴族のバラにかける情熱はすさまじいものがありますよね。
有名な調香師、ジャン=クロード・エレナは、ふらりと出かけてある花の匂いを嗅ぐと、その匂いの骨格を合成香料に置き換え、何と何を混ぜると再現できるかが頭に浮かび、あとこれを加えると、その花が満開になるイメージが想像できる香りなるな、とか頭で作れるのだとか。
そして彼は1000種類の原料の香りを覚えていて、一つの香りをアルファベットに見立てて詩を書くかのように、組み立てていくのだそう。
エルメスの有名な香水、「地中海の庭」は地中海沿岸にあるエルメスのディレクターの自宅の庭で、若い女性がイチジクの葉をちぎって微笑みながら匂いをかぐ姿を見て、このシーンから物語が生まれ、そのイメージを香りにしたのだそうです。
まったく次元の違う天才というものは本当に存在するのですね。
こんな面白い話も。
フゼアタイプという分類ができるほど定着した香水の代表的な調香があるのですが、フゼアというのはシダのことで、シダには香りがないのですが、ポール・パルケという調香師がイメージだけで作ったのだそう。
それが一般的になるなんて、イメージの力というのはすごいものです。
以前は一応漠然としたイメージはするものの、どちらかというと香りを匂いの相性として考えて足していくという感覚でしたが、この本を読んで、なんとなくですが、香りの重ね方というのが感覚として理解できたような気がしました。
確かに、香りというのは脳の記憶を引き出すのか、ふっと何かの景色が浮かんだりします。
反対に、音や景色を見ていると、ふっと香りが漂うような錯覚に陥ることもあります。
たぶん、この辺りに香りの力の秘密があるのだと思います。
そして、香りは単なる香りでなく、食べ物の栄養素と同じように、香りの成分は間違いなく心や人体の栄養素のようなものなのでしょう。
美味しい料理が栄養バランスが良かったりするように、いいブレンドの香りも心や体に作用するものなのかもしれません。
それからは普段のディフューザーのときもイメージで精油をブレンドするようになりました。
面白いもので、以前よりリラックスできる香りを作れるようになった気がします。
少し長くなりましたが、香水作りです。
ハニーマートルをベースにロザリーナ、ネロリーナ、ラベンダーなどなど慎重にブレンドしていって・・・
香りが決まれば、それを無水アルコールに溶かして10%ほどの濃度にしてスプレー容器に。
精油20滴に対して無水アルコール10mlくらいです。
2回ほど6種類目くらいで香りが破たんしましたが、とてもいい香りのものができました。
イメージは小高い丘の上でレモンのスパークリングとオレンジフルーツと初夏の力強い太陽・・・ちょっと書いてて恥ずかしくなってきました。
まあ、そんな感じです(笑
ちょっとうれしかったので、アロマに詳しい人にもハンドメイドを伏せて試してもらいましたが、精油だけとは思えないいい香りと好評でした。
精油だけで作る香水は、確かに長い時間残る精油をブレンドしても持続性に欠けますが、嫌な残り香やしつこさが全くないので、市販の香水が苦手な方にはお勧めです。
何よりも、集中して香りのブレンドをしていると、香りの効果も手伝って、ストレスの解消になります。
頭や心をリセットするのにもちょうどいいです。
作り終えるころにはすっかり気持ちが切り替わったりしています。
香水というほどでなく、市販のブレンドアロマを使ったり2~3種類でシンプルなものを作って持ち歩くのもいいですよ。濃さも簡単に調整できますし。
レシピとかブレンドのおすすめとかネットにたくさん出回ってますので、興味のある方は検索してみてください。
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